「え………」
ルイが、大きな瞳をさらに大きく見開いた。
これ以上その表情を見ていたら、言葉を続けられなくなる気がして、私は視線を落とす。
自分の爪先を見つめながら、もう一度口を開いた。
「今日はね、誕生日だけど………予定が合わなくて。だから会えなかったけど、でも、ちゃんと付き合ってる人いるから」
ちゃんと付き合っている、と言える関係かどうかは分からなかったけど、私はそう言った。
これ以上、あいまいな言い方をしてごまかしたくなかったから。
それから、自分に嫌気が差す。
あの時、店でちゃんと打ち明けていたら、こんなことにはならなかったのに。
「―――ごめんね、ルイ。黙ってて」
ふっ、とルイが白い息を吐いた。
その吐息は、震えていた。
「………謝らないでください」
ルイの呟きに、私は顔をあげた。
ルイは眉を下げて、それでも優しい笑みを浮かべている。
「そういえば、レイラさん、恋人いないなんて一言も言ってないですよね。俺が勝手に勘違いして喜んでただけなんで………」
「そんなことないよ………私があのときすぐに訂正すればよかったんだから」
「でも、話の途中でお客さん来ちゃったし。………俺のほうこそ、レイラさんのこと困らせちゃって、すみません」
ルイが、大きな瞳をさらに大きく見開いた。
これ以上その表情を見ていたら、言葉を続けられなくなる気がして、私は視線を落とす。
自分の爪先を見つめながら、もう一度口を開いた。
「今日はね、誕生日だけど………予定が合わなくて。だから会えなかったけど、でも、ちゃんと付き合ってる人いるから」
ちゃんと付き合っている、と言える関係かどうかは分からなかったけど、私はそう言った。
これ以上、あいまいな言い方をしてごまかしたくなかったから。
それから、自分に嫌気が差す。
あの時、店でちゃんと打ち明けていたら、こんなことにはならなかったのに。
「―――ごめんね、ルイ。黙ってて」
ふっ、とルイが白い息を吐いた。
その吐息は、震えていた。
「………謝らないでください」
ルイの呟きに、私は顔をあげた。
ルイは眉を下げて、それでも優しい笑みを浮かべている。
「そういえば、レイラさん、恋人いないなんて一言も言ってないですよね。俺が勝手に勘違いして喜んでただけなんで………」
「そんなことないよ………私があのときすぐに訂正すればよかったんだから」
「でも、話の途中でお客さん来ちゃったし。………俺のほうこそ、レイラさんのこと困らせちゃって、すみません」