わけもわからないまま、私はルイの背中を追う。


ルイは行き止まりで足をとめ、ゆっくりと振り向いた。


その顔は眉根が寄せられ、苦し気にも見える。



「………ルイ? 大丈夫? もしかして気分悪い?」


「いえ、違います」


「なんかつらそうに見えるけど………」


「………つらいんじゃなくて、緊張してるんです」



ルイが、伏せていた目をあげた。


射抜くように私を見つめてくる。



「―――レイラさん。俺、レイラさんのこと、好きです」


「…………」



あまりにも真っ直ぐな言葉。


私はすぐには反応できなくて、目を見開いたままで動きを止めた。



ルイが心なしか頬を赤らめて、でも視線は逸らさずに言葉を続ける。



「俺、ずっと、きっとレイラさんには付き合ってる人がいるだろうな、って思ってて。

だから、こんなこと言っても困らせるだけだから、この気持ちは自分の中にしまっておこうって―――」



「―――ごめん、ルイ」



私はルイの言葉を遮るように口を開いた。



「ごめんね。今日、店でその話になったとき………言うタイミング逃しちゃって」


「………え? なんの話ですか」


「私ね………付き合ってる人、いるの」