いきなりユカがそんなことを言ったので、私は驚いて視線を向けた。



「ちょっ、いきなりなに言ってんの、ユカ! 飲みすぎじゃない?」



事実、ユカの顔はもう真っ赤だった。


話が盛り上がっているうちに、いつの間にか既に三杯目に突入している。



私はちらりとルイに目を向けた。


ルイの顔も、ユカに負けないくらい赤くなっている。


それがお酒の酔いのせいなのか、それともユカの言葉のせいなのかは、分からないし、考えてはいけないと思った。



私はルイから視線を逸らし、ユカの肩を軽く叩く。



「もう、変なこと言わないでよ。ルイも困るよ、そんなこと言われたら」


「そうかなあ、あたし、こういうことにはカン鋭いほうなんだけど。ねえ、ルイ、当たってるでしょ?」



ユカは身を乗り出して、向かいに座るルイに問いかける。


私はルイの顔が見れない。



「あ、ほら、ユカ! 揚げ出し豆腐きたよ! 好きなんでしょ?」


「わーい、来た来た! 冷めないうちに食べよ!」



ユカの関心がテーブルの上に戻ったので、私はほっとする。


ルイの視線を感じるような気がしたけど、怖くてそちらを向けなかった。



私たちはそれから一時間ほど飲んで食べて、居酒屋を出た。


話のたねは途中からカナリアのことに変わって、それから話題が戻ることはなかったので、私はかなりほっとした。