「乾杯!」


「今日も一日お疲れさま!」



ルイとユカが満面の笑みで、私とジョッキを合わせる。



「いやぁ、やっぱおいしいねえ、仕事の後のビールは!」



ユカは上機嫌で中ジョッキを一気に半分ほど飲み干した。


ルイもにこにこしながらビールをあおる。



「ユカってお酒けっこう強いの?」



訊ねるとユカがにんまりと笑った。



「うん、まあまあね。お酒、好きだし」


「そうなんだ」



二年近くも一緒に働いていたのに、そんなことも知らなかったし、知らなかったことにさえ気づいていなかった自分は、なんて薄情なんだろうと思った。



「レイラさんはあんまり飲めないほうですか?」



ルイが首を傾げて訊いてくる。


私は少し考えてから答えた。



「うーん、すごく弱いってわけじゃないけど………ふだんあんまり飲まないから、学生のときよりは飲めなくなってるかも」


「大学時代はけっこう飲んでました?」


「まあ、サークルの飲み会とか割と頻繁にあったから」


「へえ、サークルってどんな?」


「あ、軽音サークル」


「えっ、うそ、知らなかった! 意外!」



ユカが目を丸くして、ぐっと顔を近づけてきた。