ちょうどそのとき、二人組のお客さんが入ってきたので、私たちは同時に「いらっしゃいませ」と声をあげた。



「とにかく、そういうことで決まりね」


「はい、もう決定です」



ユカとルイは釘を刺すようにそう言って、ホールとキッチンへと戻っていった。


私はもう一度ため息をつく。


二人が私の仕事を奪ってしまったので、手持ち無沙汰になってしまう。



仕方がないので、ここは二人の言葉に甘えて、今のうちに在庫チェックと発注を済ませてしまおうと、私はストックルームに向かった。


ブレンド用の珈琲豆、アイスコーヒー用の豆。

ダージリンとアールグレイの茶葉。

コーヒーフレッシュとガムシロップのパック。


牛乳、トースト用の食パン、サラダ用のキャベツ。

冷凍ピラフ、バニラアイスクリーム。


賞味期限と残量を確かめて、季節的な減り具合を考慮して、発注する個数を記入していく。


いつの間にか作業に没頭してしまい、気がついたら30分近く経ってしまっていた。



「ユカ、ルイ、ごめん!」



慌てて店のほうに戻ると、二人はカウンター越しにひそひそ話をしている最中だった。



「あ、レイラ。ねえ、ちょっと訊きたいことあるんだけど」



ユカに手招きされて、私は「なに?」と返す。


てっきり、店のことで分からないことでもあるのかと思っていたら。



「今日、店終わった後、ひま?」