「マジで? レイラさん、今日誕生日なの?」



ルイが目を丸くして訊いてくる。


いつも丁寧な敬語を使っているのに、それを忘れているのがおかしくて、私は小さく笑った。



「うん、そうだよ」


「ええーっ、知らなかった! なんで教えてくれなかったんですか」


「そんな、わざわざ言うようなことじゃないし。っていうか、もう、誕生日が来て嬉しいような年でもないし」


「そんなことありませんよ! まったく!」



ルイはなぜか全力で否定してきた。



「誕生日はいくつになっても、たとえ40でも80でも、喜ばしいことなんです。

それに、レイラさんは全然若いじゃないですか」



どう答えればいいか分からなくて、私は困ったように首を傾げるしかない。



「誕生日って聞いたらなおさら、今日は絶対残るって気になりました。俺、残ります。レイラさんが何て言っても残りますから」


ルイがそう言うと、ユカも「じゃ、あたしも」と手をあげた。



「ちょっと、なに言ってんの、ユカまで……」


「だってなんか楽しそうなんだもん」


「楽しそうって………」


「ま、たまにはいいじゃん、こういうのも」



私はため息を洩らした。