目が回るように忙しい時間帯が終わり、日も落ちた6時前になると、ずいぶん客足も落ち着いてきた。



「ルイ、もう上がっていいよ」


ルイのシフトは6時までになっていたので、数分前になると私はルイを呼んでそう声をかけた。


「今日は早く来てくれたし、今はお客さんも少ないし」


するとルイは「んー」と小首を傾げる。


「俺、残りましょうか?」


思いも寄らない言葉に、私は目を丸くする。


「え? なんで?」


「いや、だって………レイラさん、疲れてるみたいだし」


「そんなことないよ」


それは本当だった。

べつに、体調はいつもと変わりない。


どうしてルイがそんなことを言い出したのか分からずに、私は怪訝な目を向けた。


「レイラさん、今日もラストまでなんですよね? 」


「うん………」


「ユカさんは8時までだから、一人で店閉めるんですよね」


「まあ、そうだね」


「じゃ、手伝います。卒論も順調に進んでるし、俺、けっこう暇してるんですよ」


ルイはにこっと笑って言った。

私はふるふると首を横に振る。


「いいよ、そんな………。余裕あるならゆっくり休んだほうがいいよ。今から忙しくなるんだから」