昼どきを過ぎて、二度目の来客ピークが終わった。



「ねえねえ、レイラちゃん」



半分ほどが空席になったホールを回っていると、常連の主婦たち、吉田さん一行に声をかけられた。


「はい」と振り向くと、



「ルイくん、呼んで来てくれない?」



いつものことだったので、私は「少々お待ちください」と会釈をしてキッチンに向かった。



「ルイ。吉田さんたちから指名入りました」



冗談めかして言うと、ルイが情けない顔をした。



「ホストクラブみたいな言い方、やめてくださいよー」


「あはは、ごめんごめん。キッチン代わるから、ルイ、ホールよろしくね」


「ありがとうございます」



ルイはぺこりと頭を下げて、濡れた手を拭いてホールへ向かった。



私は洗いものの続きをしながら、カウンター越しにルイの様子を見る。


人懐っこい笑みを浮かべたルイが窓際のテーブルに近づくと、吉田さんたちはいっせいに声をあげた。



「ルイくん、こんにちは」


「いらっしゃいませ、いつもありがとうございます」


「ルイくんが淹れてくれた珈琲はおいしいもの」


「まあ、よく言うわね」



ルイはにこやかに対応している。