「俺ももっと入れます。週4とか週5とか」



ルイまでそんなことを言う。


私は首を横に振った。



「だめ。学生の本分は勉強でしょ? ルイは卒論もあるんだから、バイトばっかりしてたら支障でるよ」


「でも………」


「卒論ちゃんと進んでるの? もう最終仕上げに入る時期でしょ?」



私がそう言うと、ユカが口を開いた。



「ルイは賢い大学だもんね。勉強大変なんだ」


「そうだよ。大学院に進むんだし、下手な卒論、提出するわけにはいかないんだから」


「へえ、レイラ、詳しいね」



とユカは目を丸くしてから、「あ、そっか」と呟く。



「レイラも有名な大学出てるんだよね。卒論とか書いたんだ」


「え? そうなんですか?」



ルイがぱちぱちと瞬きをしながら私を見た。



「レイラさんって大卒なんだ。知らなかった」



するとユカがなぜか自慢げに「そうなんだよ」と口をはさむ。



「地元の大学いってたんだって。あたしは高卒だから大学とかよく知らないんだけどさ、ミサトさんが言うことには、誰でも名前知ってるような国立大学なんだって」


「へえ、そうなんですか」



ルイが詳しく聞きたそうにしているので、私は逃げるように「じゃあ、休憩もらいます」と言って控え室に入った。