10時になる少し前にユカが来てくれたので、少しほっとする。



ユカは私より半年ほど後に入ってきたフリーターの子で、付き合いが長いし年齢も近いので、一番仲が良いスタッフだ。



うちの店は慢性的に人員不足でシフトに余裕がなく、少人数で回すのでかなり忙しい。


その上、時給は安い。


だから学生アルバイトは早ければ数ヶ月、ほとんどが一年もしないうちに辞めてしまうのだ。



そんな中で二年働いている私と一年半のユカは、正社員で店長のミサトさんを除けば、スタッフの中で一番の古株だ。


フリーターという状況も同じだし、必然的に仲良くなった。


さっぱりとした性格のユカはとても話しやすくて、東京に出てきて以来だれ一人友達と呼べる人のいなくなった私にとっては、一番それに近い存在だ。



ただ、ユカは友達ではない。


バイトの上でだけの付き合い。


私の生活の中心はリヒトで、いつでも彼の呼び出しに応じられるように、誰かと遊びに行ったり飲みに行ったりする予定を入れるわけにはいかないからだ。



むなしい人生だな、と自分でも思う。


でも、どうしようもない。



私にとってはリヒトが全てだから。


リヒトを失ったら、リヒトのために全てを捨ててきた私は、生きる意味さえ失う。