「ふうん、それはそれは。まあ、なんにせよ戦力になってくれて助かってるよ」



私は曖昧に笑ってごまかし、軽く汚れを落とした食器をかごに並べ、洗浄機の中に入れた。


ルイの視線を背中に感じながら、キッチンを出てホールに戻る。


お冷やのおかわりはいかがですか、と声をかけて回りながら、ちらりとキッチンを見ると、ルイは調理台を拭きながらまっすぐに私を見ていた。


目が合うと、ぱっと笑顔になって、軽く手を振ってくる。


私は小さく笑って、すぐに視線を逸らした。




………ああいうのは、困る。


どういう顔をすればいいのか分からない。



ルイはもしかして私に対して特別な感情をもっているんじゃないか、などと邪推してしまいそうになる。



四捨五入したら30歳になるフリーターの私が、4つも年下の大学生の男の子に好意を持たれていると思うなんて、思い上がりもはなはだしい。


そんなふうに思ってしまいそうになる自分が恥ずかしかった。



それからはなるべくキッチンに入らないようにして、常連のお客さんと世間話をしたり、トイレや店の周りの掃きそうじをしたり、

ルイと目を合わせるのはオーダーを伝えるときだけにした。