私とルイは思わず顔を見合わせ、それから噴き出した。



「あいかわらず、すごい人気だね」


「ほんと。天性の女たらしだからね」


「まあねえ、あれだけかっこよけりゃ仕方ないよ。男の俺でも憧れちゃうもんなあ」



ルイがしみじみと呟いた。



「でも、ルイがあんなふうになったら、ちょっと笑えるよ」


「それもそうか」




―――今日はDizzinessのライブの日。


全国ツアーの最終日だ。



この2年で、Dizzinessはメジャーデビューして、2枚目のシングルが深夜番組のエンディングテーマになって、急激に知名度と人気があがっていた。



「………2年ぶり、かあ」



私はステージ前の手すりに頬杖をついて、思わず呟いた。


右隣のルイはなにも言わずに、前を向いてまだ暗いステージを見ている。



私の左隣には、二十歳くらいの女の子が立っていた。


長い睫毛にふちどられた印象的な大きな瞳、色白で小さな顔、ふっくらとしたピンク色の唇。

すごく可愛い子だ。


どこかで見たことがあるような気がした。

もしかしたら、Dizzinessのライブで見かけたことがあったのかもしれない。


彼女は、ほかの若い女の子とは違って、たった一人きりで、ひたすらまっすぐにステージに視線を向けている。


まるで睨みつけるように。


その眼差しの強さに少し驚きながら、私も同じようにステージを見つめた。