外の空気で冷えたドアを開くと、歩道のガードレールに腰かけて待っていたルイがにっこりと笑った。
「おつかれ。早かったね」
「うん。ミサトさんがね、早く行けって仕事代わってくれたから」
「わお、さすがミサトさん! 優しいなあ」
「うん、ほんとに」
ルイが私の荷物をさっと奪って歩き出した。
「ありがと」
「どういたしまして」
初めのころはこういうさりげない気遣いに慣れなくて、いちいち恥ずかしい思いをしていたけれど、最近はちゃんと感謝できるようになった。
「ってか、ミサトさん懐かしいなあ。また今度、ちゃんと挨拶に来ようかな」
「そうだね。平日の昼なら暇だし、今度一緒にお茶しに来ようか」
「あ、それいいね」
ルイが就職活動と修士論文に専念するために店を辞めてから、一年近く経っている。
ミサトさんもルイが会いに来たら喜んでくれるだろう。
この二年の間に、私は試験を受けて正社員になり、研修を終えて、他の店でレストランのウェイターを経験して、
そしてまたカナリアに戻ってきて、副店長になった。
アルバイト時代よりもさらに忙しいし、責任も伴う仕事が多くて大変だけど、やり甲斐があって毎日充実している。
半歩ぶん前を歩いていたルイが振り返って、手をつないできた。
「あんまり時間に余裕ないね。ちょっと急ごうか」
「うん」
私たちは今夜の目的地へ向かって足を早めた。
「おつかれ。早かったね」
「うん。ミサトさんがね、早く行けって仕事代わってくれたから」
「わお、さすがミサトさん! 優しいなあ」
「うん、ほんとに」
ルイが私の荷物をさっと奪って歩き出した。
「ありがと」
「どういたしまして」
初めのころはこういうさりげない気遣いに慣れなくて、いちいち恥ずかしい思いをしていたけれど、最近はちゃんと感謝できるようになった。
「ってか、ミサトさん懐かしいなあ。また今度、ちゃんと挨拶に来ようかな」
「そうだね。平日の昼なら暇だし、今度一緒にお茶しに来ようか」
「あ、それいいね」
ルイが就職活動と修士論文に専念するために店を辞めてから、一年近く経っている。
ミサトさんもルイが会いに来たら喜んでくれるだろう。
この二年の間に、私は試験を受けて正社員になり、研修を終えて、他の店でレストランのウェイターを経験して、
そしてまたカナリアに戻ってきて、副店長になった。
アルバイト時代よりもさらに忙しいし、責任も伴う仕事が多くて大変だけど、やり甲斐があって毎日充実している。
半歩ぶん前を歩いていたルイが振り返って、手をつないできた。
「あんまり時間に余裕ないね。ちょっと急ごうか」
「うん」
私たちは今夜の目的地へ向かって足を早めた。