くらりと目が眩んだ。


瞼をおろしても、まだゆらゆらと揺れているような気がする。



だから私は、すがりつくように、ルイの背中に手を回した。


ルイが抱きしめ返してくれる。



それがあまりにも優しくて、心地よくて、嬉しくて、泣きたくなった。



くらくらする。


これは、眩暈だ。


でも、なんてやさしい眩暈なんだろう。



「ルイ………傍にいてほしい」



私は目を瞑ったまま、とうとう心をさらけ出した。


ルイが「はい」と答える。



「自分勝手でごめんね。でも、ルイのこと、好きになった………かもしれない」



その瞬間、ルイがぷっと噴き出した。



「かもしれない、って。この期に及んで、まだごまかすつもりですか。ほんと往生際が悪いんだから」



呆れたように言われて、私はルイの背中を軽くたたく。



「しょうがないでしょ。だって、ついこの間まで、リヒトのことしか考えてなかったんだから………いきなり思考の転回なんてできないもん」



言い訳がましく言うと、ルイが「はいはい」と笑った。


それから、あやすように私の頭をぽんぽんと撫でる。



親以外からそんなことをされたのは初めてで、息が止まるかと思うほどびっくりした。