「だって………最低でしょ。

私にはリヒトがいるからって、ルイの気持ちを無下にしてきたのに、今さら………。

リヒトに捨てられたからって、今度はルイにすがるなんて、虫が良すぎる」



まるでルイに乗り換えるような自分の軽薄さが、嫌で嫌で仕方がなかった。



すると、ふっとルイが笑いを洩らした。



「………ばかだなあ、レイラさんは」



少し呆れたような声が、耳許で囁く。



「そんなこと考えてたんですか?」


「………当たり前でしょ。誰だってそう思うよ」


「俺は思いませんよ」



ルイの腕にさらに力がこもった。


でも、やっぱり苦しくはない。

ただただ温かい。



「むしろ、嬉しいです。やっぱり俺のこと………好きなんですね」



ぎゅっと胸が苦しくなる。


反論しようと口を開いたけれど、何も言葉が出てこなかった。



「―――やっと俺のほう見てくれたんですね」



ルイは私の肩に額を押しつけるようにして、声を震わせて呟いた。


今度は胸がきゅうっと引き絞られたように切なくなった。



ルイのあまりのまっすぐさが、私をがんじがらめにする。


でも、それは、驚くほど甘い束縛だ。