優しくて懐かしい温もりが私を包み込む。


心地よさに思わず瞼を閉じてから、私ははっと我に返った。



「ルイ………」


「レイラさん」



離れて、と言おうとした私の言葉の続きを遮るように、ルイが口を開いた。



「もう無理………」



ルイは私の背中に回した腕にぎゅっと力を込める。


そして、私の肩口に顔を埋ずめる。



「そろそろ諦めてよ………」



首筋をルイの吐息が撫でて、ぞくりと肌が粟立つのを感じた。



「そろそろ認めてよ、レイラさん。俺のこと―――好きでしょ?」


「………」



そんなわけない、とは言えなかった。



きっと声が震えてしまう。


その声がきっと、その言葉は嘘なのだと白状してしまう。



「往生際が悪いですよ。正直、ごまかせてませんから。本当は俺のこと特別に思ってるって、目が言ってますよ」



そうだろうな、と思う。


私は昔から嘘が顔に出てしまうのだ。



でも、簡単に認めることなんてできない。



「………そんな虫の良いこと、言えないよ」



私は独り言のように呟いた。


ルイが「え?」と首をかしげて訊きかえしてくる。



私は意を決して、自分の気持ちを打ち明けることにした。