「明けましておめでとうございます」



チャイムが鳴り、玄関のドアを開けた瞬間、ルイの明るい笑顔が現れた。


私も「明けましておめでとう」と返してから、



「元気だね。長旅で疲れてないの?」



と訊ねると、ルイがにやりと笑う。



「そりゃあ元気ですよ。張り切ってますから」


「張り切ってるの?」


「そうです。これを機に弱みにつけこんでやるんだ!って感じで、気合い入ってるんです」



ルイの言わんとすることが分かってしまい、私は顔をうつ向けた。



「さあ、行きましょうか」



ルイがにっこりと笑って首を傾げる。



「用意、できてますか?」


「あ、うん………」


「外、寒いから、マフラーちゃんとつけてくださいね」



私は頷いて部屋の奥に戻る。


ルイは玄関で待ちながら、じっとこちらを見ている。



二色のマフラーがかけてあるクローゼットのドアの前で、一瞬、手が止まる。


思わずワインレッドに触れてしまいそうになってから、私は淡紫をつかんだ。



マフラーを巻きながら玄関に戻ると、ルイが満足げに満面の笑みを浮かべた。



「レイラさん、ありがとう。嬉しいです」