「お前はもう用無しだ。要らない。だから、もう呼ばない」



リヒトは淡々と宣告を下した。


私は目を閉じたまま、力なく首を横に振る。



「………お前、俺のこと、好きか?」



リヒトの声が私の鼓膜を甘く濡らす。


私は顔をあげて大きく頷いた。



「うん、好き」



そういえば、リヒトに向かって好きだと伝えたこともなかった。


重たがられるのが嫌だったから。


リヒトに訊かれるのも初めてだった。



私の間髪入れない答えを聞いて、リヒトが右の口角をあげる。



「―――俺がお前を好きになることはない」



ぞっとするほど冷たい声だった。


心臓が凍りつく。



そんなことは分かっている。


リヒトに好きになってもらえるなんて、これっぽっちも思っていなかったし、望んでもいなかった。



リヒトに愛されなくても、今まで通りでいい。


愛されなくても、時々そばに置いてくれるだけでいい。


だから、捨てないで。



………そう思っているはずなのに。



「俺は絶対にお前を好きにならない。お前を愛することはない」



リヒトの言葉は私の身体の中心を射抜き、致命傷になった。