「それと、もう一つ」



ルイが顔をあげて、まっすぐにリヒトを見る。


リヒトの強すぎる瞳にとらえられても、

怯まずに、目を逸らさずに。



「黙ってたらフェアじゃないと思うので、言わせてもらいます。俺は―――」



ルイがすっと息を吸い込む音がした。



「―――レイラさんが好きです。だから、あなたという恋人がいるのを知っていて、何度もレイラさんに想いを告げています」



………なんてまっすぐなんだろう。


ルイはいつでも、驚くほどまっすぐだ。

まっすぐすぎるくらいに。



私はリヒトに視線を送る。


リヒトはやっぱり顔色ひとつ変えずに、超然とした様子でルイを見つめかえしていた。



しばらくしてから、ふいにリヒトの唇が動く。



「………べつに、俺に断る必要なんかない。お前の勝手だろ。レイラが誰に好かれてようと、俺には関係ねえよ」



あまりにも素っ気ない言葉に、ルイが目を剥き息を呑んだ。



でも、私は平気。


冷たくて、残酷―――それがリヒトだから。