押し黙ったまま、ただ見つめ合う。


どうしよう。

なにか言わなきゃ。


『そんなの無理』


そう言わなきゃ。


だって、私には、リヒトがいる。

私はリヒトから離れられない。



いつも私のことを気づかって、優しくしてくれるルイ。

私にできることならば、なんだってしてあげたい。


でも………。



ルイがどんなに望んでくれても、それだけは―――私の心だけは、あげられない。


それは、私自身にもどうしようもないものだから。



沈黙に耐えられなくなったころ、視界の端に、ひらひらと揺れる白いものが見えた。


ちらりと視線を向けると、雪のかけらだった。



今年はホワイト・クリスマスか………脈絡もなく、そんなことを思った。



「………無理ですよね、やっぱり」



ルイが呟いて、力なく笑った。


どんな顔をすればいいか分からなくて、私はうつむく。



「………他のものなら、なんでもあげる。なんでもあげたい。でも、それだけは―――私にもどうにもならないから」


「分かってます………」



消え入りそうな声でルイが呟いた。



ごめんね、と言おうと思ったけれど、言えなかった。


謝るのはおかしい。

そんなことをしたら、きっとルイを傷つけてしまう。