ルイが「えっ」と目を丸くする。



「お返し、くれるんですか?」


「当たり前だよ。こんないいものもらっちゃって、何も返さなかったら落ち着かないもん」


「そんなの、気にしなくていいのに………。でも、せっかくもらえるならもらっちゃおうかな」


「うん。何か欲しいもの、ある?」


「そうだな………」



ルイは考えこむように一瞬うつむき、それから空をあおいで、私に視線を戻した。


薄い唇がかすかに震えて、ゆっくりと開く。



「―――レイラさんの」



ルイはまっすぐに私を見つめる。


その瞳に自分が映っているのが見える。



ルイは一瞬、言葉をとめ、細く息を吐いてから、意を決したように言った。




「レイラさんの心が欲しい」



私は目を見開き、びくりと肩を震わせる。



―――きっと、ルイはすぐに、『冗談ですよ。びっくりしました?』と悪戯っぽく笑うはず。


いつもみたいに。



………そう思っていたのに、

ルイは、いつまで経っても、真剣な眼差しを私に注ぎつづけている。



「………ルイ?」



本気なの? と訊ねようと口を開いてから、私は言葉をのみこんだ。


本気だと答えられたら、どうすればいいか分からない。