「よかった………断られたらどうしようって、めちゃくちゃどきどきしてたんです」



ルイは駅に向かってゆっくりと歩き出した。


私も足を踏み出して、ルイの隣を歩く。



ルイがちらりと私に視線を落とした。



「よかった、似合ってる」



意味がわからなくて、私は「え?」と首を傾げた。



「その色。お店で選ぶとき、レイラさんは何色が似合うかなって、けっこう悩んだんです」


「ああ………」


「赤だと派手すぎるなあと思ったし、黒は暗すぎるし、青はくっきりしすぎだし、白だと汚れやすいから長く使ってもらえないし」


「そんなことまで考えてたの?」


「もちろんですよ。それで、レイラさんのイメージで選んだら、薄紫になりました」



意外な気がした。


私はとりたてて紫が好きということもない。

ふだん着ている服も、黒や白やグレーといった無彩色がほとんどだ。



「―――なんで、薄紫?」



思わず疑問を口に出していた。


ルイが「なんでって、あんまり理由はないんですけど」と首をひねってから、

ゆっくりと、一語一語を噛みしめるように答える。



「なんていうか、一番きれいで優しい色かなって。気品があって透明感があって、純粋な感じ。それがすごくレイラさんぽいなって思ったんです」