『新入生にすげえイケメンがいる!』



先輩たちが騒ぎ出して、人が集まってきた。

女の子たちは明らかに興奮した様子で、なんとか話しかけようと近づいてくる。


リヒトはみるみる不機嫌になっていった。

先輩に声をかけられても素っ気なく無愛想に返すだけで、それすらもだんだんなくなっていった。


見た目はいいけど扱いづらい男だと、やっとのことでみんなが気づいて、徐々に人が離れていった。



私はその間、きれいだけど奇妙なその男には一言も話しかけないまま、ずっと隣に座っていた。



厄介な相手には接触しないに限る、と思っていたのだ。


席を移動したいとも思ったけど、他のテーブルになんの遠慮もなく乗り込めるほど、私は社交的ではなかった。

だから、居心地の悪さをこらえて、そこに座っていた。



人がいなくなると、リヒトは一人で静かに飲み始めた。


誰にも話しかけないし、目も合わせない。

できるかぎり関わりを持たないようにしているのだと、気配で伝わってきた。


一匹狼ってまさにこういう人のことなんだろうな、と私は感心した。


リヒトは全身から誰も近づけないような孤高のオーラを出していた。