困る。本当に困る。


私は唇を噛んで、ルイの手を話そうと腕をひいた。


でも、びくともしない。



「レイラさんは、リヒトさんのことが好きなんですよね」



うん、と私は頷いた。



「リヒトさんに会えると嬉しいですか? 幸せですか?」



私はもう一度うなずく。



「………じゃあ、どうして」



ルイの声が低くなった。


顔をあげると、視線が絡み合う。



「どうして、レイラさんはいつも、そんなに寂しそうなんですか」



どくん、と心臓が跳ねた。



ルイの言葉のせいか、ルイの眼差しのせいか。



「………私は、」



なんとか声を絞り出す。



「私は、さみしくなんか、ない。ちっともさみしいなんて思わない」



声が震えないように必死だった。



「私はリヒトさえいればいいの。リヒトと会えるのが本当に幸せなの。それ以外、なにもいらないの」


「うそだ。レイラさんはいつも寂しい顔をしてる」


「そんなことない」


「俺なら!」



ルイが叫ぶように言って、私の両肩に手をおいた。


顔の近さにどきりとしてしまう。



「俺なら………あなたに」



ルイは今にも泣きそうに顔を歪めていた。