ルイが驚いたように目を見開いた。



「どうしてですか………倒れたばっかりなのに。そんなに具合悪そうなのに。どうして?」


「どうしても。リヒトに呼ばれたら、私はどんなときだってすぐに行くの。そう決めてるから」



私はきっぱりと言う。

ルイは眉根をよせ、唇を噛んだ。



「………馬鹿じゃないですか?」



いつものルイからは考えられないきつい言葉に、今度は私が驚く番だった。



「レイラさん、あなた、馬鹿なんじゃないですか? どうしてそんな状態で、彼氏に呼ばれたからって、無理してまで会いに行くんですか? いつもそうなんですか?」



私は目を見開いたまま、こくりと頷いた。

嘘などつける雰囲気ではなかった。



「………信じられない。なんで? 今日は体調が悪いから無理って、ひとこと言えばすむ話でしょ?」


「ちがうの、駄目なの」


「なにが駄目なんですか。レイラさんが調子わるくても、呼んだら来ないと怒るような人なんですか」


「ちがう、そうじゃない。リヒトは怒ったりしない。私が会いたいから行くの。どんなに具合が悪くても、どんなに忙しくても、リヒトに会いたいから………」