ルイが私の手を握る指に力をこめた。



「レイラさん、こっち見て」



反射的に目を向けてしまう。



「あの日、あの時、レイラさんが俺に優しさをくれたってことが、全てなんです。他の誰も関係ない」



ルイの視線も、言葉も、痛いくらいに真っ直ぐだった。


その真っ直ぐさに射抜かれた私は、痛くて、苦しくて、泣いてしまいそうだった。



「あの時だけじゃありません。

お客さんが立て続けに入ってきて、俺がキッチンでパニックになりかけてたとき、レイラさんはすぐに気づいて、何も言わずにヘルプに入ってきてくれましたよね。

俺が間違ったメニュー作っちゃったときも、すぐにフォローしてくれました」



こんなことになるなら、そんなことはしなかったのに。

後悔が私の胸の中に渦巻いた。


こんなの、ルイも私も苦しいだけだ。



「レイラさんはいつも、周りをよく見てて、優しくて、みんなを気づかってくれて。

そんな姿を見るたびに、俺は………どんどんあなたのことを好きになっていったんです」



ルイは容赦なく責め立てるように言葉を紡いだ。


一途な瞳に見つめられて、苦しくて、苦しくて、私は声が出せない。