リヒトがごろりと仰向けに寝転がる。


ゆるく波うつ長めの髪が、白いシーツに広がった。

襟ぐりの開いたシャツから見える、きれいに浮かび上がる鎖骨に目を奪われ、ぞくぞくする。


美しい切れ長の瞳が、私を静かに見つめていた。



―――俺は疲れているから、お前がやれ。


そう言われているのだと分かった。

いつものことだから。



私は王に仕える下僕のように、羞恥も誇りも投げ出して、ただ静かにリヒトに奉仕する。


リヒトが満足げな息を洩らすと、泣きたいくらいに嬉しくなった。



リヒトが身じろぎをしたので顔を上げると、リヒトの上から降ろされた。



そして、今度は横たえられる。


そのままリヒトが上に覆い被さってきた。



優しさも、気づかいも、甘さも、何一つない。


王は下僕に慈悲などかけない。

ただ、自分の欲しいままに動くだけ。



肩のあたりまであるリヒトの髪が、ふわりと私の頬や首筋を撫でる。


ぞくりと全身の肌が粟立った。

鼓動がうるさいくらい高鳴る。



眩暈がする。


あまい眩暈。



このままどこかに落ちていきそうな錯覚にとらわれて、思わずリヒトの背中に腕を回した。