次の日。
昨日、教室を飛び出したまま帰ってしまったので、教室に入るのを少しためらってしまう。
気まずいなぁ。手をあげてあんな騒ぎを起こしちゃって。まあ、椿くんのせいなんだけど。
「はぁ……」
ドアの前でため息をついた時、後ろから「なずなちゃん!」と名前を呼ばれた。
この声……。
「おはよう、なずな!」
「おはよう」
後ろを振り向くと、そこにはスミレと、そして当たり前のように芹香がいた。
ドクンと胸が波を打って、嫌な黒い気持ちが広がっていく。
どこまであたしとスミレの間に入ってくれば、この人は気が済むのだろうか。
「なずなちゃん。昨日大丈夫だった?」
「え……」
沸き上がってきたイラつきは、本当にあたしを心配してくれているような、穏やかなスミレの声で沈んでいく。
「そうだよ!なずな!椿くんに怒るのも無理ないよね!」
「え、え?」