殴られるかもしれない、嫌われただろうから会ってくれないかもしれない。


それでもいいから、とにかく謝りたいんだ、と。


「裏切られたあいつからすると、もう俺の事なんて友達だと思ってくれないと思う。今のなずなみたいに、『俺に友達なんていない』って思ってるかもしれない。だけど、俺にとってあいつは一生大事な友達なんだ」


雪くんは、空を仰ぎながらそう言って。
その人のことを思い出しているのか、すごく懐かしそうに優しく目を細めた。


それから、あたしに視線を戻すと、あたしの頭をまたポンポンと撫でて笑う。


「俺があいつのことを友達だって思ってる限り、あいつに友達がひとりもいないなんてことにならない。例え謝って許してもらえなくても、俺はあいつの友達で居続ける。あいつの友達だけは絶対やめない」



“それが、裏切ってしまった俺があいつの為にできる、唯一のことだと思ってるから。”



その雪くんの強い意志がこもった言葉は、あたしにひとつの期待を生ませる。