「俺さぁ、大事な友達がいたんだけどね、そいつとの約束破っちゃったことがあって。結果的にそいつを裏切ることになっちゃったんだ」


そう、何やら語り出した雪くん。


椿くんは、あたしと同じだって言ってたから裏切られた側なんだと思う。


雪くんは、あたしや椿くんとは反対で、裏切った側なんだ……。


だったら、きっとあたしの気持ちなんて、わかるわけない。


「そうなの。最低だね」


だから、冷たく突き放した。


“最低”なんて、自分が独りにならない為にスミレを縛るあたしが言えたことじゃないのに。


少しの罪悪感と自分に対する嫌悪感が心に広がる。


だけど、雪くんは違った。



「うん、俺は最低なの。だから、ちゃんと会って謝りたいと思ってる。大切な友達だから」



そう言って、明るく笑った。