『なずなちゃん』


『一緒に戻ろう』


あれは全部、自分が独りになりたくないために仕方なく発した言葉。


わざわざそんなことしなくても、彩芽にはもう蘭がいるのに。


「ははっ……あたしってば……」


悲しい、つらい。そして、恥ずかしかった。


バカみたいだ。彩芽が嫌々言っていた言葉に、少しでも嬉しくなって、救われていた自分が。


でも、よかった。


高校でもまた、“友達”ができていたら、その相手を信じてしまうところだった。


その前に、友達っていう存在が何なのか学ぶことができて。


友達は、自分を守る為に隣に置いておくだけの存在。お互いそうなんだから、信じたり心を許したりしちゃダメ。


もし、その“友達”が奪われそうになるなら、蘭のように是が非でも阻止しなければいけない。自分が孤独になりたくないのなら。


そうして、あたしは高校生になった。