男子は、興味津々な様子で椿くんの席までやって来て、話を続けた。
「今はやってないのか?もうやらないのか?よかったら部活入んない?」
詰め寄るサッカー部の男子。
それを、椿くんはあからさまに嫌そうな顔で。
「やらない」
と、即答した。
サッカーが大嫌いだ、もう二度とやるもんか、とでも言いたげな様子で、椿くんが言った。
突然の椿くんの変わりように男子はもちろん、隣で一部始終を見ていたあたしまで驚いてしまう。
「あ、ごめん。でも、もうやらないって決めたんだ」
呆気に取られる男子を見て我に返ったのか、椿くんは苦笑して謝った。
その笑顔は、少し切なそうで悲しそうで、これ以上何も聞かないでくれと懇願しているように見える。
「いや、俺の方こそごめんな」
「全然いいって」
申し訳なさそうに肩を落として歩いていく男子。
椿くんも、どこか悔しそうな顔で椅子にストンと腰をおろした。