「ううん、そんなことない!なずなちゃんは友達だもん!」


優しくてお人好しなスミレは、即座にあたしの言葉を否定してくれた。


スミレのそういうところが好き。
ここまで完璧な“友達”は他にいない。


「そうだよね。スミレならそう言ってくれると思った」


あたしは、スミレの返答に心底ホッとしたように見せるため、大袈裟なぐらい大きく安堵の息をつく。


そして、すぐに芹香のもとへ報告に向かった。
自分でも気味が悪いぐらいの笑顔で。


「芹香。悪いんだけど、あたしとスミレでペア組むから」


ざまあみろ、というやつだ。
まあ、教室では授業中スミレを独り占めさせてあげてるんだから、体育の時間くらい返して欲しい。


スミレはあたしの“友達”なんだから。


心の中でほくそ笑みながら、そう告げると、芹香はしばらく目を丸くしたあと。


「うん、わかった!」


意外にも、あっさりと引き下がった。