でも、もう独りにはならない。なりたくない。


「スミレ。あたしと組もう」


あたしは芹香が来る前にと、真っ先にスミレに声をかける。


「私はいいけど、でもそしたら芹香ちゃんが……」


やっぱり、スミレならそう言うだろうと思った。


でも、だから何だというのだ。
奇数は綺麗には割れない。必ず余りが出る。
それは当たり前のことで、小学生だって、算数で割り算を習っていたらわかること。


その余りになるのが、芹香だろうが他の誰だろうが、あたしには関係ない。


「芹香なら大丈夫だよ。誰と組んでもうまくやれそうだし」


「でも……」


「あたしは、スミレじゃなきゃ嫌だ。スミレがいい。スミレはあたしとペア組みたくない?」


意地悪な質問だけど、こう言うしかない。
スミレを渡さない為だ。
たたでさえ、席が遠くなってしまった今、少しでもスミレの近くにいなければ、いつ芹香にひょいっと取られてしまうかわかったものじゃない。