あたしの、朝の言葉?
もしかして、言い返した時の……。


『どれだけ大切にしたって、人間は裏切るのよ!! 平気な顔で、悪びれもなく裏切るのよ!!』


「春風さん。誰かに、友達とかに裏切られたことあるの?」


淡々とあたしに質問をしてくる椿くん。
その目から、彼が何を考えてそんなことを聞いてくるのかは、まったくわからない。


でも、それに答えたところで何だと言うのだ。


仲間はずれにされて、友達だと思っていた人に嫌いだと言われて。


そんなこと、きっと同じように経験したことがある人じゃないと、それがどれだけつらいことかなんて理解してくれないに決まってる。


スミレのことを、“あたしのそばにいてくれる友達”なんて言い方をする椿くんにはわからない。


「……二度とあたしに話しかけないでって言ったでしょ」


あたしは、椿くんを冷たく突き放して、もう話しかけられないように机に突っ伏して、ホームルームが終わるのを待った。