スミレに嫌われない程度に、さりげなく。
なおかつ、鈍そうな芹香に察してもらえるように。
うまい具合に、スミレと芹香の仲を邪魔するんだ、と。
そう改めて決意した時に限って、神様はひどく意地悪になる。
「最悪だ……」
先ほど、先生お手製のくじを引いたあたしは、引いた紙のくじに書かれた数字を見て絶望した。
「なずなちゃん、一番後ろの席だね。いいなぁ」
あたしが引いたくじを覗き込みながら、そう言って笑うスミレ。
今はホームルームの時間。
芹香が転入してきたということもあって、席替えをやることになった。
箱の中のくじに書かれた数字を見て、黒板に書かれた場所と照らし合わせる。
あたしは、窓際の一番後ろの、本当なら誰もが羨む席を引き当てた。
だけど、あたしが“最悪だ”とつぶやくのには理由があった。