「あ!あたしもね、課題わかんないとこがあってね、スミレに教えて欲しいの!」


芹香の入る隙間なんて作らない。
一瞬でも作ってしまえば、そこで負けだ。
あっという間にスミレを取られて、中学の時と同じ道を辿るだけ。


それだけは、絶対に嫌だ。


「あのっ、なずなちゃんっ」


あたしは、勉強を教わるためにノートを取りに自分の席に向かう。
そんなあたしを、焦ったような声で名前を呼んだスミレ。


あたしの様子に、たぶん何かしら違和感を覚えているのかもしれない。


でも、そんなの……。



「なずなちゃん!」



関係……ない、けど。


スミレが、初めてあたしに向かって大きな声を出した。


それに、一瞬ビクリと肩を跳ね上がらせた自分がいた。


スミレ……?