「そばにいてくれる友達がいるのに、そいつを大切にしないところ、本当に嫌いだよ」



何それ……好き勝手なこと言って……!


中学の時のことや、昨日会った彩芽の顔を思い出す。


こんなズケズケと土足で踏み込んでくるような奴に言われたくない。あたしのことなんて、何にも知らないくせに。



「どれだけ大切にしたって、人間は裏切るのよ!! 平気な顔で、悪びれもなく裏切るのよ!!」



彩芽のことが大好きだった。
あたしのことを気にかけてくれてることが何より嬉しくて、だからあたしも蘭のことなんて気にしなくて済んでたのに。


むかつく!むかつく!!むかつく!!!


「椿くん、もう二度とあたしに話しかけてこないで」


あたしの気迫と怒声に驚いた様子の椿くんを、押し退けるようにして教室を出た。


春風さん、とあたしの名前を呼ぶ声が聞こえたけど、あたしは無視して女子トイレに駆け込んだ。