意味がわからない。
仮に、スミレに彼女なりの理由があるうえで芹香と仲良くなりたかったのだとして、あたしにそれは関係ない。


だって、スミレはあたしのものだから。


例えどんな理由があろうと、あたしのもとから離れて、あたしが孤独になるようなことにはさせない。


「スミレの理由に、あたしは関係ない。あたしは芹香と仲良くして欲しくない。だから、邪魔をする。それの何が悪いの?」


思ったことをそのまま口にすれば、椿くんはゆっくりと上げていた口の端を下げる。
その顔から、笑顔はたちまち消えた。



「だから、俺はあんたのことが嫌いなんだよ。春風なずな」



屋上で言われた時と、同じ言葉を告げられる。


別に椿くんに好かれたくなんかないけど、2回も嫌いだなんて言われるのは嫌だ。


言い返そうとしたあたしを、椿くんの刺々しくて冷たい声が遮った。