聞いてきたくせに、最初から答えはわかっていたらしい。


そういうとこも何だかむかつく。何も知らないくせに、何でもお見通しですよみたいな感じが。


あたしの無言を肯定と捉えたらしい椿くんは、あえてあたしを怒らせるようなことを言い始める。


「昨日、見事に八潮さんに先越されてたもんね」


「……椿くん、ちょっと黙ってくれるかな」


あたしの眉間にしわが寄ったことに気付いたのか、椿くんは怪しく口角を上げる。


「そんなに必死になるなんて、よっぽど染色さんを取られたくないんだね」


「……だったら、何」


「ひどいね。染色さんが、どんな思いで八潮さんと仲良くなろうとしてたのかも知らないで」


「は……?」


何それ。スミレがあそこまで芹香と仲良くなりたかった理由が何かあるっていうの?