そこは、椿くんの席だった。
バッグがあるということは、椿くんはもう登校してきているはずだけど、姿はない。
あの人も、もしかしてどっかの部活に入ってるのかな。
そういえば、屋上でサッカーやってたし、サッカー部だったりするのかな。
そう思って、野球部から離れた場所で練習しているサッカー部のほうを見てみたけど、椿くんらしい人はいない。
……まあ、あんな失礼野郎のことなんてどうでもいっか。
そう思って、椿くんより奥にある自分の席に向かおうとした時、誤って椿くんの机にぶつかってしまった。
――ガターン!
「わわっ」
机が倒れ、バッグも落下。
静まり返っているせいで、やたら音が大きく響く。
バッグのチャックが開けっ放しだったらしく、中に入っていたであろうノートや教科書などが散乱してしまった。