我ながら卑怯だなとは思うけど、あたしの良心は痛まない。


だって、あたしのスミレを取った芹香が悪いんだもん。


だから、これは、その仕返しだ。


でも、芹香は素直なことにしきりに謝ってくれたから、今日はこのへんで許しておいてあげよう。


「もういいよ。芹香も悪気があったわけじゃないんだしね」


「うう……ありがとう、なずな〜。優しい〜」


芹香には優しい笑顔を見せ、心の中では高笑いをしていた。


ふふっ、完璧だわ。


スミレに、芹香の悪いところとあたしの良いところを見せられた。


それも、不自然に思われない程度に。


彩芽に会ったばかりでなく、芹香に先を越されてしまい、さっきまで嫌な気持ちばかりだったけど、今は少し晴れやかだ。


……でも、明日は絶対に遅れを取らない。


スミレよりも早く来て、スミレが来たらいっぱいお話して、芹香なんか入ってこられないぐらい盛り上がっているところを見せつけてやるんだから。