「よかった。なずなちゃんがあんなこと言うから、私ちょっとびっくりしたんだけど……なずなちゃんは芹香ちゃんに人見知りしちゃってただけなんだよね」
――ドクン。
スミレがあまりにも的外れなことを言うものだから、あたしの心臓が嫌な音を鳴らした。
人見知り?あたしが?スミレは何をのんきなこと言ってるのかな?
まったく……馬鹿なことを言わないでもらいたいなぁ。何もわかってくれてなくて、腹が立つよ。
「まあ……そんなとこ」
本当は全然違うけど、これ以上スミレと気まずい雰囲気にはなりたくないので曖昧に返した。
でも、これだけは言わせて。
「スミレは“あたしの友達”だからね」
「うん?もちろん、なずなちゃんも私の大事な友達だよ」
嬉しそうに微笑むスミレが、あたしの言葉の本当の意味を知ることはない。