「彩芽……」


「私が弱いせいで……。ごめんなさい……なずなちゃん!」


ボロボロと涙を流しながらも、彩芽はあたしの手を強く握ってくれた。


「もういいんだよ、彩芽……。あたしもごめんね」


手を握ったまま、もう片方の手で彩芽の頭を撫でると、ずっと泣きっぱなしだった彩芽は、照れくさそうにしながらやっと笑ってくれた。


「なずなちゃん。蘭ちゃんともいつか、ちゃんと“友達”になれるかなぁ……?」


「……うん、大丈夫だよ。きっと」


なんだか、あたしでいう椿くんみたいに導いて くれる人が、蘭にとっては彩芽だったんじゃな いかと思う。


椿くんがいたから、蘭と同じように間違った友 達の作り方をしていたあたしでも、友達になる ということがどういうことなのか理解すること ができた。


確かに一度は突き放したけど、今はこうして、 “嫌い”という言葉の重みで彩芽自身も傷つい ていたことに、やっと気づいてあげられた。


だから、きっと蘭も大丈夫だよ。
あたし達が、蘭とも“友達”になりたいって思い続けていたら、いつかきっと……。