「……ごめん」
「え……」
やっと解放してもらい、もう体は自由のはずなのに、彩芽は固まり、その場からは動けなくなる。
その理由は、あたしにもよくわかっていた。
「……今までごめんって言ったの!!」
蘭はそう叫んで、踵を返してずんずんと歩いていく。頭が真っ白のあたしや彩芽にはお構いなしで、蘭はとうとう慌ててついてきた取り巻き達と共に公園からいなくなってしまった。
「……?……!?」
どうなったのか状況がよくわからないといった様子の彩芽。
それから、今まで怖い存在だった相手に立ち向かうのは相当大変だったらしく、ヘナヘナとその場に腰を抜かせる。
「蘭、考えを改める気になったみたいだね」
「え……」
あたしは、彩芽のもとへ歩いていき、彼女の視線に合わせるようにしゃがみこんだ。
「な、なずなちゃん!?」
「ごめん。さっきの、ずっと見てたんだ」
驚いて後ろにのけぞる彩芽に、あたしは苦笑する。