「彩芽の分際で……私に口答えしてんじゃないわよ!!」
だけど、彩芽の必死な訴えも、蘭には簡単に跳ね除けられてしまう。
「何偉そうなこと言ってんのよ!私のことなんて何も知らないくせに!」
蘭が、彩芽の胸ぐらを掴み、強く睨みながら言った。
だけど、反論した蘭は、なんだか様子がおかしい。
「転入生なんて、どうしたって異質な目で見られるんだから、正攻法でやってたら“友達”なんてできない!既に出来上がってるグループに入っていくことがどれだけ大変か、あんたにわかる!?」
「ら、蘭ちゃん……?」
あたしや彩芽、蘭の取り巻きまでもが、彼女の言っていることに疑問を抱き始める。
ただ、理不尽に怒っているわけじゃない。
蘭のこの怒りの奥には、悲しみがあるような気がしてならない。
「だから、のんきに話しかけてきたあんた達につけこんで……でも3人組なんて上手くいくわけないと思ったから、気の弱そうな彩芽を利用するしかなかったのよ……!」
蘭の目に、涙が光る。
それを見たあたしは、かつての自分を見ているようで、目の奥が熱くなった。