それにしても、一体何の話をしているのだろうか。
ビクビクと肩を震わせている彩芽を見る限り、あまり楽しそうではないことは明白だった。
「とぼけてんじゃないわよ。あんたこの前、あいつと一緒にいたでしょ、仲良くするなって言ってんのに。さては、私の悪口でも言ってたんじゃないの?」
「そんなことしてない……!ただ、ひとりぼっちだったから……話してただけで……」
状況がよくわからないけど、察するに、中学の時同様、彩芽は蘭が気に入らない子とは仲良くしないように言われているらしい。
でも、話をしているところを蘭に見つかり、こうして尋問を受けているといったところか。
「ら、蘭ちゃんが思ってるほど悪い子じゃないよ……?」
「は?あんた、私に口答えするの?」
「だ、だって……」
彩芽は涙目になりながら、それでも彩芽のほうをしっかりと見て、言った。
「私っ……中学の時のなずなちゃんみたいに、もう友達を失いたくないの……!」