あたしが席に着くと、すぐに1時間目の授業が始まる。


いつ椿くんと話そうかな。出来れば早い方がいいんだけど。
でも、学校の休み時間中では落ち着いて話せないから、放課後がいいな。


まあ、呼び出したところで来てくれるかわからない。そもそも話しかけて、今朝みたいに無視に近いことをされたら、呼び出すこともできないしなぁ……。


そうだ!


あたしは、自分のノートの隅をあまり音を立てないように静かに破り、その切れ端にペンを走らせた。


【今日の放課後、椿くんと2人で話したあの公園に来てください。ちゃんと話がしたいです。】


……よし。


ぼんやりと黒板を眺めている椿くんの机に、あたしはその切れ端のメモをそっと置く。


すると、それに気づいた椿くんが、あたしを見て明らかに怪訝そうな顔を浮かべ、それでも渋々メモは読んでくれた。


「……」


何も言わずに、またあたしをちらりと見やる椿くん。


「あたし、ずっと待ってるから」


すかさずそう言ったけど、椿くんはやっぱり無言のまま、でもそのメモは制服のポケットにしまってくれた。