「あたし、もうどうしたらいいかわかんなくて……。それで今日もここに……」
“雪と幸せに”なんて、言って欲しくなかった。全然嬉しくないよ。
あたしは、椿くんの隣で幸せになりたいよ。
話しているうちにだんだん落ち着いてはきたものの、椿くんのさっきの言葉を思い出して、また涙がこぼれそうになる。
すると、スミレがあたしの右手をぎゅっと優しく握り締めてきた。
「話してくれてありがとう、なずなちゃん。ごめんね、なずなちゃんはこんなに悩んでるのに、私なずなちゃんに相談してもらえたことが嬉しいんだ」
「スミレ……」
申し訳なさそうに少し控えめに目尻を下げるスミレ。
芹香も頷きながら、スミレの真似をしてあたしの左手を握り締める。
「なずな。たぶん、つらいことだとは思うけど、やっぱり私は椿くんに話すしかないと思う」
「……でも……」
昨日も、今日も。当然の報いかもしれないけど、椿くんは話を聞いてくれそうにはなかった。