「なずな、朝のホームルーム始まっても来なかったから休みなのかと思ったよ〜」
「でもバッグがあったから学校には来てるんだろうなって思って、芹香ちゃんと探しに来たんだよ。見つかってよかった」
柔らかな笑顔を見せてくれるスミレと芹香。
あたしは、たまらなくなって、2人に抱きついて泣きじゃくりながら、とうとう自分の気持ちを伝えた。
「スミレ、芹香っ……。あたし、椿くんのことが好きなの!」
あたしが言うと、2人が穏やかな笑顔を浮かべる。
「でも好きだから力になりたかったのに、返って傷つけちゃって、謝りたくても椿くんが話を聞いてくれなくて……っ」
あたしは、椿くんの小学校の頃のこととか、雪くんのこととか、全部全部隅から隅まで話した。
あんまり椿くんのことを勝手に言うのは良くないかもしれないけど、2人はあたしの大切な“友達”。何でも話せる“本当の友達”なんだ。
それに、2人はむやみに他の人に言いふらしたりしないと思ったから。
相談できる友達がいる、当たり前のことだけど、今のあたしはそれがどれだけ幸せなことなのかを強く実感した。